ヘルプマーク論議~パープルカフェ☆オンラインにて

先日のパープルカフェ☆オンラインで「ヘルプマーク」について出た話と、それを聞いて思ったことを紹介します。

ヘルプマークは見た目で分かりづらい問題を抱え、配慮や支援が必要な人に、駅や役所などで、無料で配布されています。同じマークを使ったヘルプカードもあります。

てんかんも「見た目は健康」な人の多い病気。こけしも外出時は必ず持ち歩いており、以前ブログに書いています。

てんかんで助けを求める時ーヘルプマーク・ヘルプカード | 障害福祉マンガ劇場 (ship-kokeshi.com)

てんかんマークを作った気持ち | 障害福祉マンガ劇場 (ship-kokeshi.com)

さて、パープルカフェの参加者たちは「見た目で分からない」問題を抱える当事者で、それを伝えるヘルプマークの普及は賛成ですが、今回は実際に使って感じた本来の目的と、現実とのずれ」で盛り上がったと思います。

ある方は「あなたのような人がつけるもの」とケースワーカーに勧められて役所にもらいに行くと「最近欲しい人がたくさんいて在庫を切らしていたけど、ちょうどありますよ」とすぐにもらえ、「誰にでも渡したら意味ないんじゃ?」と疑問を感じたそうです。

これはこけしも同じでした。役所で「どうぞ」とあっさり渡されて「何も聞かないの?!」と驚き、思わず自分から「あの、てんかんなんですけど」と口に出していました。ほしいだけで渡して良いの?どんな人がもらったかデータを取らなくて良いの?…と思いました。

「それ分かる!」という方もいれば「えー!私は障害者手帳を見せた上で、『てんかんです』と言わないとくれませんでしたよ!」という方もいました。交付申請が必要な場合もあり、配る自治体によってまちまちなようです。

東京都福祉保健局のホームページには対象者を「義足や人工関節を使用している方、内部疾患や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としている方」としていますが、実際は多くの地域で「誰でももらえる」、同時に「誰がどんな理由で持っているか正確なデータはない」と言えそうです。

色んな人が持つからこそ、配布とともに「実際にどんな人が持っているか」も広めることも必要では、と思います。現状で多くの人が具体的に認識しているのは「電車で席をゆずる」で、あとはふわっとしているのではないでしょうか。

「前は必ずヘルプマークをつけて電車に乗っていたけど、第三者的な目で、健康そうなのになんでヘルプマークをつけているのかな?というのも分かるんですよね」という方もいました。

「ヘルプマークは席をゆずる」という認識が広まっても、「健康に見えるけど優先席に座る必要のある人とは具体的にどんな人か」が広まらなければ、使う人たちは居心地の悪い思いをしてしまいます。

配布は元々駅から始まりましたが、「駅では止めて欲しい!」「配るにしても、障害者手帳を確認するなり、事情を聞くなりしてほしい」「どんな人に配ったか統計を取るなどしてほしい」という意見が多かったです。

「それぐらいしてくれないと、普通に健康に見えるから、優先席に座っていたら何か言われそう」という意見もあり、「本当に必要な人だけが持てる」配布体制でなければ、堂々と使えないと感じるのです。

また、ヘルプマークとセットで説明を書いて片面に貼る用のシールをもらえますが、「書き切れないよ」という話も出ました。もちろん、シールを活用している方もいるでしょうが、複数の障害があれは書くことも多くなるし、てんかんだけでも「てんかん発作が起きることがあります」では、意味がないです。それだけ見て、誰もが対応できる世の中なら良いでしょうが。

発作の症状もさまざまだし、基本救急車は必要なくても、発作があまりに長いと必要でしょう。緊急連絡先も必要ですが、丸見えのところに書くのは抵抗があるし、おすすめできません…。

こけしは、ヘルプマークとヘルプカードをセットにして、発作時はカードの説明を読んで対応してもらえています。

ヘルプマークは「見た目で分からない問題がある」と伝えられても、具体的な情報は、個人個人で説明しないと分かりません。配布の時点でヘルプカードもセットで勧める、シールにたくさん情報を書ける作りにするなど、改善はできそうです。

「普及させるのは良いと思うが、どんなことで困っているかも聞かず、障害者手帳などの確認もせず、名前も住所も聞かない。自分が健常者なら悪用しようかって考えが浮かぶよ」という意見もありました。

実際「無料のヘルプマークが、ネットで売られていた」問題や、「ヘルプマークを持って優先席に座る人を見て、座れるなら自分ももらおうとした」というニュースもあったそうです。

…どうしても、人間ずるがしこいことを考えるものです。

また「ヘルプマークをつけている人が、ラッシュ時に優先席で動画を見ていて、それは違うよね?と思った」という方もいました。ヘルプマークで配慮や支援を受けるなら、マナーは守ってほしいですね。

「確信犯で優先席に座る人は『私はヘルプマーク持っているよ』と堂々としてそう」「具合悪くてもヘルプマークをつけていない方もいるし、見極めが分からない」「もう、具合が悪いそうにしてればいいんじゃないですかね」といった話も出ました。…結局「見た目で判断」になっていますね。

「国や自治体のお墨付きをもらって自分の権利として使える障害者手帳などと違い、特に規制なく誰にでも配ってしまうヘルプマークは抵抗があり、意地もあってあえてつけていない」という方もいました。

こけしは必要だと感じるし、広く知ってもらうためにも使っていきたいですが、今回話したみなさんと同じく、現状には抵抗や疑問を感じる部分があります。

ヘルプマークの配布を広め、たくさんの人が実際に使って存在が認知されることと同時に、本当に必要な人に適切に利用され、また悪用を防げるよう、配布の際の確認や記録など、改善できる部分は、変えていってほしいと思います。