てんかんで助けを求める時ーヘルプマーク・ヘルプカード

こけしが普段、家から出る時に、ポケットやバッグに必ず入れているもののひとつが「ヘルプマーク」です。
これは「外見から分からなくても、援助や配慮を必要とする人が、周りにそのことを知らせて援助・配慮を受けやすくする」ことを目的に東京都で開発されたもの。
2012年に配布が始まり、現在は全国各地に広まって、テレビでも紹介されるようになりました。

必要な人は、役所や駅などの配布場所で、無料でもらえます。障害者手帳を持っているなどの条件や手続きなどはありません
ストラップ式のマークの他に、よりくわしい情報を記入できる「ヘルプカード」も各地で作られ、配布されています。自治体で色々なデザインがあります。
こけしは、ヘルプマークは市役所の障害福祉課でもらい、ヘルプカードは住んでいる市になかったので、他の自治体のホームページから印刷できるものを見付けて利用しました。

てんかんは100人に1人いると言われ、数で見たらめずらしくありません。また、子どもから高齢者まで、誰でもかかる可能性のある、身近な病気です。
でも、患者の8割は薬で発作を抑えられていて、こけしのように発作が度々あっても、普段は問題なく生活している場合も多いので「見た目には分かりにくい病気」と言えます。

お、それって正にヘルプマークぴったりじゃん!と思うかもしれませんが…
てんかんは「偏見、誤解」が多く、隠している患者も多いです。

こけしも長い間、隠している患者のひとりでした。見た目には健康な学生で、発作が起きても、気分が悪くなるけど、目立った変化はなく意識もあり、数秒か数分で元に戻るので、隠せていました。
発作中に危険はなかったし、周りに気付かれないようにしていたので、「助けを求める」という発想はなかったのです。

でも社会人になり、発作が激しくなって、隠しきれなくなりました。その後隠さなくて良いことも知ったのですが、発作中は隠す気が無くても、普段通り話せないのです。
意識はあっても自分の名前や病名を思い出せなかったり、上手く話せなかったりして、周りに状況を伝えられず、必要がないのに救急車を呼ばれてしまうこともありました。

そんなことを繰り返し、障害者手帳にメモカードを入れておくことにしました。緊急連絡先と、病名、症状、発作時の対応について説明を書き、外出時はポケットに常備しました。

その後、ヘルプマーク・ヘルプカードの存在を知り、「助けを求める手段として世の中に広まって欲しい」「助けを求めやすい社会になって欲しい」という思いから、自分でも使うことにしました。

普段は特に問題ないので、常にヘルプマークを付ける必要まではないかなと思ったのですが、発作時に全身硬直してカードを取り出せないことがあり、動けない場合でも分かりやすいように、ヘルプマークも持つことにしました。
ヘルプマークは片面にシールで説明を貼れる仕様ですが、個人情報がまる見えになることやはがれる可能性を考え、シールは貼らず、ヘルプカードとセットにして持ち歩いています。
普段は外に出していると電車で席を譲られたら申し訳ないので、すぐ取り出せる場所に入れておき、体調不良時や発作の後は出しておくようにしています。
発作の時、まともに話せない状態でもカードを見て対処してもらえて、発作後のつらい時、電車でもマークに気付いた方に席を譲ってもらえました

てんかんは、まだまだ「よく知らない」「どう対応したらいいか分からない」という人が多い病気でしょう。そして、こけしのように、症状からも気持ち的にも、周りに助けを求めづらい患者も少なくないでしょう。
だからこそ、発作の時に「正しく伝えられる」手段が必要で、そのひとつがヘルプマークだと思います。