てんかんと 障害者手帳

自分が受けられる支援制度について知ったのは25歳の頃からで、精神保健福祉士の資格を取り、精神障害者向けのグループホーム(ラファミド八王子)で働いたことがきっかけです。

支援制度のひとつが「 障害者手帳 」です。障害者が色々な支援を受けるためのもので、「 身体障害者手帳 」「 療育手帳 」「 精神障害者保健福祉手帳 」の3種類があります。手帳の種類、障害の程度や住んでいる地域によって受けられる支援は違います。
また手帳を持っているだけで自動的に全部の支援が受けられるわけではなく、他に手続きが必要な場合もあります。

てんかんは「 精神障害者保健福祉手帳 」の対象です。1995年に規定され、障害の程度で1~3級まであり、2年ごとに更新の必要があります。年齢制限はありません。
こけしが発症したのは11歳、1994年頃なので、もし知っていたら中学1年生くらいから手帳を持てたかもしれません。

ラファミド八王子では、利用者様のほとんどが手帳を持っていて、申請の手伝いなどもしました。てんかんで手帳を持っている方もいました。
「生活保護の障害者加算」「バス賃を半額」「プールなどの公共施設を無料で利用」といった使い方が多かったと思います。

てんかんと 障害者手帳

こうして「 障害者手帳 」について知りましたが、自分はすぐには取得しませんでした。

なぜ取得しなかったのか…?

「 障害者手帳 」は障害者が支援を受けるための「 証明書 」のようなもので、手帳を持つことで制限を受けることはありません。…でも世の中には「 障害者 」に対しての「 偏見 」や「 無理解 」、「 良くないイメージ 」が少なからずあります。それは自分自身の中にも。自分は「 てんかん 」だけど、働けているし大して困っていないし、「 障害者 」だとは思っていませんでした。だから支援を受ける必要もない、むしろ税金を使ったら申し訳ないと思ったのです。

その後、上司に支援制度を利用して休職することを勧められた際に、障害者手帳も取得しました。発症から19年、30歳になっていました。それからは利用を続けていて、各種の割引や助成金や控除など、金銭的に助かってきました。今になって思えば、もっと早く利用すれば良かったです。それこそ、実家で暮らしていた頃から利用していれば、親も助かったんじゃないかと思います。

でも、親も障害者手帳について知る機会はなかったのでしょう。それに例え知っても「 てんかん 」を隠していたし、「 障害者 」として支援を受けることにも抵抗やためらいを覚えたかもしれません。

こけしは自分が障害者手帳を使うことに何も問題はないと分かっていますし、家族からも「 受けられる援助は受けた方が良い 」と勧められています。

それでも障害者手帳を出す時に「 どう思われているだろう? 」「 自分が使って良いのかな 」と不安やためらいを感じることがあります。保険証でも出すような感じで、当たり前に使えるような世の中になって欲しいなぁと思います。

てんかんと 障害者手帳

「 精神障害者手帳 」が規定されて今年で23年ですが、こけしが子供の頃よりは、てんかんの患者が手帳につながる機会は増えてはいるのでしょう。どんな支援が受けられるのか知り、そして必要な場合はためらいなく受けられるように、本人も周りの人も、多くの人が正しい情報を得られる機会が増えて欲しいと思います。