てんかん発作の微妙な前兆②朝の記録

「てんかん発作の微妙な前兆①」では、「気のせい」「微妙な違和感」くらいで流していた「ごくごく弱い前兆」が実は大事かも?!という話を書きました。

今回はそのつづき、実際にそんな前兆があったときをふり返ってみます。

 

てんかんの「前兆発作」

以前にも書きましたが、「前兆」は簡単に言うと、脳の一部での小さなてんかん発作発作の起き始めくらいのことです。

長年発作じゃないと思って記録もしていまでんでしたが、「前兆」がなにか知って、実は11歳で最初に救急車で運ばれたときから感じていたかも、実は治療のために重要かも、と気づきました。

てんかん発作の「前兆」 | 障害福祉マンガ劇場 (ship-kokeshi.com)

 

最近、日本てんかん協会東京都市部のてんかん講座で聞いた話だと、個人でちがいはあると思いますが、前兆は側頭葉てんかんは感じやすく、前頭葉てんかんだと逆に感じない場合が多いそうです。

パープルカフェの参加者でも、前兆があるという人もいればまったくないという人もいますし、前兆があっても「気分が悪い」「におい」など人によっていろいろです。

 

毎日のてんかん発作の記録

半年前から「気のせいくらいの前兆」も記録するようになって、自分の発作を理解し、減らすために、これは注目しがいがあると感じ、次の段階も思いつきました。

それは「発作が起きそうにないときも記録する」こと。

起きそうなときが分かるということは、起きなそうなときも無意識に感じているわけです。「異常のあったとき」と「通常時」どちらも記録することで、何かわかるかも・・・。

とうわけで、今年の4月から「今日は発作が起きそうな気がするか」確認してスケジュール帳に記録することが毎朝のルーティンに追加されました。

で、ここ2ヶ月半ほどはどうだったかというと・・・

「何も起きそうにないな」というときと、「微妙にイヤな感じがする」というときがあります。起きてすぐには何もなくても、その後で感じることもあります。

家にいることが多い生活ですが、発作まで起きたのもふくめて、微妙な前兆があったのは4月は7日、5月は10日でした。

ここ数年、診断書には発作の回数は「年10回程度」と書かれているのを考えると、けっこう多いですね・・・。

入浴中・後はやっぱり起きやすいようです。あとは、朝起きてしばらくしてから、というのが何度かありました。

しかし、昔は発作のことなんて極力考えないようにしていたのに、毎日考えるようになるなんて・・・いろんな意味で、おもしろいな~と感じています。

 

早朝の前兆の事例

今回は朝からの例をひとつ、ふり返ってみます。

その日は朝5時に目覚めました。最近、ルーティンが整ったおかげで、早寝早起きです。前日は、23時10分に布団に入りました。ちょっと遅めです。

起きてすぐは「いつもと変わらない」と感じました。換気→洗濯→はみがき・・・といった朝のルーティンワークを進めていくのですが、5時20分ころ、ふいにきました。

普段最もよく感じる前兆は、側頭葉てんかんに多いと言われる、みぞおちから何かが上がってくる感じ(上腹部上行性感覚)。このときは「胸に一瞬ドキッ・・・?」くらいです。

ちなみに、てんかん講座での話だと、脳の消化器官に関係するところで発作が起きているのだそうです。昔から「なんで、脳の発作なのに胸のあたりに違和感出るんだ」と疑問でしたが、消化器官も脳とつながっているもんね、なるほどって感じでした。

こういう話を聞くと「てんかんて、脳っておもしろいな~、もっと知りたいな~」と思います。同時に「もっと早く知りたかった」とも思うのですが・・・。

 

このときは、はみがきや、洗濯機を回すために洗面所に行ったときや、押し入れを開けたときに強く感じました。あとは、メモを取るときも前兆を感じました。

自分の場合、どうも発作のときは「暗くてせまい場所」「洗い物など下を向く体勢」はNGみたいです。光とか圧迫感とか、何かしら脳への影響があるんじゃないかな~と考えていますが、今のところ医学的根拠はないです。

似たような話を他の患者さんから聞くこともあります。経験から、自分でやめておいた方がいいな、と感じることは発作中はやめておくようにしています。

前兆はずーっと続くわけではなく、10分ごとに、ふっと一瞬イヤな感じがする感じです。だからはっきりした発作にくらべて、判断がむずかしいのですが・・・。

発作が大雨なら、前兆は顔にしずくがかかる・・・いや、雲が多いくらいかも。傘を持って出かけるか迷うくらいですね。

 

さて、ここで行ったことは、以下の3つです。

  1. タイマーを用意
  2. 家族に伝える
  3. 横になって休む

以前は全部していませんでした。「しなくても大丈夫だろう」と感じるからです。

今も、そう感じるのは正直変わらないです。「このくらいなら発作は起きないだろ」「家族に言う必要はないだろ」とこの日も思いました。

でも、これまでの経験から、「タスク(行動)」は決めておくことにしました。

決めておくことで、迷っても動けます。避難訓練マニュアルみたいな感じです。

 

1.タイマーを用意

もし発作が起きたときに時間を測るためです。

これは、今までずっと習慣ではなかったので忘れがちですが、「ちょっとでも前兆を感じた日は目に見えるところに置く」と決めて何度か実行し、だんだん慣れてきました。

発作はなるべく起きてほしくはないですが、もし起きちゃったときは、できるときは自分で時間を測りたいです。

てんかん発作時の対応「時間を測る」~タスクペディアのつかいみち② | 障害福祉マンガ劇場 (ship-kokeshi.com)

2.家族に伝える

発作が起きたとき、まわりの人に様子や時間を見てもらうのは大切です。

まだ寝ていた夫には「発作起きそう」とLINEスタンプを送りました。

「この程度で言う必要あるかな」「心配をムダにかけるんじゃ」と、どうしても言うのをためらうので、スタンプでポチッと伝えられるのは楽だと感じます。

このとき「たいしたことないと思う」と続けて送ろうとしましたが、「いや、確実にそう思えてからにしよう」とやめました。

こけし /てんかんスタンプ – LINE スタンプ | LINE STORE

3.横になって休む

発作が起きたときは、治まるまで待つのが基本です。

リビングの床に布団を敷いて横になり目を閉じました。

横になっている間はいつも朝にやっている洗濯や掃除が気になったり、あるいは「今日は朝からこんなんで大丈夫なんだろうか」と不安になったりしました。

前兆中は、発作時とちがって、普通に動けるので、やろうと思えばできてしまう分、休んでいる時間がもったいないように感じてしまいます。

同時に、大丈夫そうな前兆から発作が起きて、発作の後は頭痛が残って一日いつもどおりには動けないという経験も何度もあるので、不安も感じるのです。

横になって目を閉じて、約15分後・・・

「あ、なんか落ち着いてきた気がする」と感じました。

最初は微妙な違和感だったのが、確実に前兆と感じる状態まできていましたが、ふっと楽になりました。たぶん、脳が落ち着いてくれたってことなのでしょう。

夫にあらためて、もう大丈夫と送りました。なんかもう、全然平気です。6時半からラジオ体操もできました。

 

 

その後はもう全然普通に動けそうな気はするのですが、念のために「入浴は短めに」「洗髪はしない」「タイマーは準備しておく」などタスクで決めています。

この日は再び前兆が起こることはなく、一日いつもどおりに過ごせました。

 

何回かこの微妙な前兆を意識して記録してみたところ、見えてきたことがあります。

自分の場合は、発作が起きると2~3分で治まることが多いですが、弱い前兆のときは、とぎれとぎれにだいたい一時間くらい続くことが多いみたいです。

そして、動くより横になるのがやはり落ち着くようです。横になってから長くても一時間くらいで「あ、大丈夫」と感じます。

具体的に時間の目安が持てると、安心感がちがいますね。

 

その後も、微妙な前兆を感じると迷ったり不安になったりしますが、「家族に伝えて横になる」という対応で、後から見れば短時間で落ち着けています。

どのくらいの時間か、どう対応するか見えてきて、落ち着いて前兆から発作が広がるのを防げているんじゃないかと思います。

自分の発作を観察・研究している感じで、ちょっと楽しくもあります。

これからも、発作を起きにくくする治療と並行し、今後も「微妙な前兆」を意識して記録していこうと思います。