てんかん発作が起きたときはどう対応すればいいか?どう対応して欲しいか?
これは発作の内容や状況によっていろいろだと思いますが、てんかん発作は「自然に治まる」ものなので、「治まるまで待つ」が基本です。
長時間の発作でなければあわてて救急車を呼ぶ必要はないし、昔よく言われていた「舌をかまないように口にものを詰める」も逆に危険なので今はやらないよう呼びかけられています。【てんかんinfo】発作時の対処法
こけしは11歳で発症してから大学を卒業した後までてんかんをクローズにしていて、また子どものころはまわりに気づかれないような発作しか起きなかったのもあり、「適切に対応してもらう」ことを考える機会が長年なかったです。当時の小児科の主治医からもそういった話は特にされなかったと思います。
大人になってから生活や仕事に支障が出るような発作が起きるようになり、自分でもどうしたらいいか分からず困り、まわりにもたくさん迷惑をかけてしまいました。
今回は、自分でも発作の対応を理解できていなったころに、適切に対応してもらい感動した思い出を紹介したいと思います。
それはまだラファミド八王子で働いていたころ、場所はスタッフルームで、対応してくれたのは当時のサービス管理責任者の原島さんです。
発作が起きたのは突然でした。直前までスタッフルームで談笑していたと思いますが、発作が起きた、と思ったら一瞬で身体全体動かせなくなりました。
立って話していたと思いますが、そのまま固まったという感じで、崩れたり倒れたりはしませんでした。
自分に何が起こったかは分かるのですが、自分の意思では動くことも話すこともできない、という状態で、焦りました。
そのとき、原島さんはすぐに行動してくれました。何も言わずにまず私を椅子に座らせて、次にスタッフルームの半分を仕切る扉を閉めました。
スタッフルームは半分を可動式の壁で仕切れる作りで、半分はスタッフが事務作業やミーティングをする部屋、もう半分は利用者様が服薬や面談のために出入りすることがある部屋で、普段は開けています。
扉を閉めることで、まず利用者様からは見えないようにしてくれたわけです。
そうした上で、原島さんは自分のデスクに座って、パソコンでの作業を始めました。
私は、視覚障害が生じて、視界がちゃんとは見えていない状態でしたが、原島さんのこうした行動は分かりました。
身体は動かせないし、言葉は出せない、視界はおかしくなって、いつ発作が治まるか分からない…とても不安でしたが、原島さんの「余計に話しかけることはしない」「安全で静かな場所に移動させる」「発作が落ち着くまで目に見える場所で静かに見守る」という対応に、すごく落ち着きました。
このとき、「自分はこんなふうに対応してほしかったんだ」と分かりました。
そのままの状態で約一時間後、ふっと何かが解けるように身体が動かせるようになり、発作が終わりました。その後は頭痛は残りましたが、自分で帰宅できました。
このできごとがきっかけのひとつとなり、現在は「事前にまわりに説明する」「ヘルプカードを携帯する」など、自分で準備して周囲に適切に対応してもらえるようになりました。
ちなみに、以前ブログに書きましたが、ラファミド八王子で仕事中に発作が起きたとき、まわりの職員があわてて救急車を呼んでしまった、ということもありました。その際は、自分が伝えていくことの必要性を知りました。
ここ数年も何度か外出先で動けなくなる発作がありましたが、ヘルプカードを見た人は説明どおり見守ってくれ、時間がかかっても自然に発作が治まった後に、自分で家に帰れています。
今回紹介したスマートな対応をしてくれた原島さんは、現在はグループホーム友のサービス管理責任者で、昨年度はSHIPの勤続10年で表彰されました。
ラファミド八王子の初期から一緒に働いた仲間であり、またてんかん発作があっても自分のことを理解し、平等な目で仕事を評価してくれたかつての上司への感謝と応援の気持ちもこめて、紹介させてもらいました。