てんかん発作中の「大丈夫です」の意味

様子がおかしい人を見かけて、声をかけようか迷ったこと、ありませんか?
その中には、てんかん発作を起こしている人もいたかもしれません。

「てんかん発作」と聞くと「けいれんする」「倒れる」といったイメージの方も多いと思いますが、実際には「気分が悪くなる」「数分で治まる」小さな発作が多いと言われます。

こけしも小発作を起こすことが多く、「大丈夫ですか?」と声をかけられたことは何度かあります。そういう場合、「はい、大丈夫です」と答えることが多いです。

どうしてかというと、実際自分の感覚では「大丈夫」だからです。小発作の場合、しばらくすれば自然に治まることがほとんどです。その場合、声をかけられても、してもらえることは何もないのです。しいて言えば、静かにじっとさせてほしい、といったところでしょうか。
電車だと、席をゆずってもらえるのはやっぱりありがたいことでしょう。ついつい「大丈夫です」と遠慮してしまうこともあったのですが、発作中はふらつくこともあり、座った方が安全なのは確かなので、親切は素直に受け入れたいなと思います。

あとは、「大丈夫です」以外言えないという場合もあります。こけしはおそらく側頭葉のてんかんですが、発作中は言葉が出なかったり、思い出せなかったりすることがけっこうあります。自分の状況は理解できているのに、それを説明できないのです。それで結果的に「大丈夫です」と繰り返してしまうという…。自分の名前や病名を聞かれても思い出せず、「大丈夫」だけは言える…もどかしいです。

また、こけしにとって長い間、てんかん発作は「隠すもの」で、「声をかけられる」「説明する」という想定はありませんでした。発作は周りに気付かれることもなく自然に治まるので「一人で大丈夫」でした。
それで、発作が周りに気付かれ、声をかけられて出てきた言葉は「てんかん発作です」ではなく、「大丈夫です」だったのかなと思います。てんかんを隠さなくなってからも、「てんかん発作です」と言えたことはほとんどなくて、発作中は自分で思っている以上に話すのは難しいと知りました。…長い間隠していた分、「てんかん」と口にするのに慣れていないってこともあるかもしれませんね。

そんなわけで、軽い発作のときの「大丈夫です」には「てんかん発作ですが、自然に治まるので、救急車を呼ばなくて大丈夫です」という意味がこめられているのですが、声をかけている方にはそんなの分かるわけありませんよね。
これまで声をかけてもらって「大丈夫」しか言えなかったとき、相手は「本当に大丈夫かな…?」という微妙な表情で立ち去っていきました。大丈夫そうに見えなかっただろうし、てんかん発作だということも分からなかったでしょうから…。
せっかく声をかけてくれた人たちに、モヤモヤした感覚を残してしまっただろうと思うと、すごく申し訳ないです。

それから、こけしは小発作がほとんどですが、まれに発作が長引いたり症状が悪化したりすることもあります。いつもの発作だと思っても、気付いたら意識を失っていたことは何度かあります。
新幹線で発作が起きて、乗務員に声をかけられたのに「大丈夫です」と答え続けて、気付いたら新幹線を止めてしまっていたことが一度あります。そのことで自分の大丈夫という感覚は絶対ではないのだと反省しました。

また、自分では記憶のない話ですが、幻覚を見る発作を起こしたとき、気付いて介抱してくれた人に「大丈夫です」とくり返していたこともあったらしいです。発作中に動いていても記憶はないこともあるのですが、そういう状況でも反射的に出てくる言葉は「大丈夫」だったようです。

多分今後も、発作中は声をかけてくれた人に、大丈夫でもそうでなくても、反射的に「大丈夫です」と言ってしまうことはあると思います。
こけしとしては、声をかけてくれる人には感謝したいし、声をかけたことを後悔してほしくないです。それと、助けが必要な時は自分から助けを求められるようにしたい
だから、言葉で伝えられなくても、「てんかん発作中で、どうしたらよいか」声をかけてくれた人に伝えられるようにしたいと思います。

そのための手段のひとつとして、外出時はヘルプマークヘルプカードを必ず持ち歩いています。