てんかん専門医

世の中には色々な分野で「専門家」がいますが、てんかん治療にも「専門医」と呼ばれる人がいます。

「てんかん専門医」とは、日本てんかん学会で2008年から定められているもので、診療の実績と能力があり、試験に合格することが認定条件。
ちょうどラファミド八王子ができた年なので、てんかんの利用者様の通院同行などで、もしかしたらまだ新しい「てんかん専門医」と知らずに関わっていたかもしれません。
ホームページの名簿を見ると、現在は全国に700人ほどいるようです。

自分の治療で関わったのは、2013年頃、治療のため休職した際に、詳しい検査などができるようにと、てんかんの研究が盛んだという病院を紹介され、転院した時です。

初めての「てんかん専門医」は人当たりの良い、優しい印象でした。
その先生に提案されて、他の薬を試し、手術も検討しました。結果的には、薬の効果はあったものの長続きせず、手術も不可能でしたが、新しい経験でした。
その後、「担当患者が多くなってしまった」と言われ、担当医が変更に…。前の先生に比べると、ちょーっときつめの印象。まあ人間ですから、性格は人それぞれですね。
その先生には、発作の記録シートをもらい、新しい薬を提案されました。その薬も半年間はとても効いたのですが、こけしは薬が長続きしてくれない体質のようです…。

その後、先生に「病院を辞めることになったので、他の病院のてんかん専門医を紹介する」と言われ、地域の「てんかん専門医」のいる病院のリストを見せられました。結構たくさんあったかと思います。
もともと、症状が安定したら転院させる方針の病院で、こけしは安定したかと思ったら発作を繰り返して数年経っていたのですが、ここで転院することになりました。

てんかん専門医ではないけれど前の病院に戻るという選択肢もあり、全く知らない病院は不安だったこけしは、先生に「てんかん専門医にかかった方が良い理由」を質問しました。
その時の答えは「救急の時にも専門的に対応してもらえる」というもの。
…んー、こけしは救急搬送の経験も少なからずあるのですが、普段通院している病院に運ばれることはそうないですよね…。いまいち、納得いかない答えでした。

自分としては、「てんかん専門医」にかかったことで、新薬や手術について、新しく知ることができたと思います。
でも、これは色々な病院でよくある問題だと思うのですが、発作と薬の話だけで5分で終わってしまう診察に、正直ストレスを感じてもいました。

それで、新しい病院に移るより、信頼している病院に戻ることに決めました。
その病院は「内科」ですが、必要があれば他の病院やてんかん専門医にもつなげてくれるし、てんかんの治療や新薬などについての情報も色々と教えてくれます。
また、身体全体の調子を見て、仕事や生活のことも含めて話をしっかり聞いてくれ、久しぶりに診察を受けた時に、ものすごく安心したのを覚えています。

これはあくまで一つの体験談で、専門的知識を持った医師は必要だと思いますし、同時に「肩書」があればいいわけでなく中身が大事、という話です。
こけし自身も「精神保健福祉士」いう資格を持っていますが、実際に障害者支援に携わる中で、試験に合格しただけでは適切な支援のできる「専門家」にはなれないと、実感しました。

その後、今はツイッターを通して、てんかん専門医の方とつながる機会が持てており、参考になる意見や情報を得られています。

てんかんは、人それぞれに違い、一生付き合うことも多い病気。
人生に大きく影響を与えることがあるからこそ、専門的知識を持った医師に診てもらい、自分の病気について知ることが大切だと思います。

そして、「てんかん専門医」は、薬や手術や検査などの治療だけでなく、支援制度や妊娠への影響、周囲との関わりなど、社会的に必要なことにつなげてくれる存在であって欲しいと思います。