てんかんを発症したのが11歳の時だったので、私は地元の総合病院の小児科に通うことになりました。
小児科っていうと普通は何歳までかかるものでしょうね?
一般的には中学生、15歳くらいまでが目安のようです。
でも、私は 成人でも小児科へ 。最後に小児科の先生の診察を受けたのは22歳くらいのことでした。
「え、とっくに成人式も過ぎて大人じゃん?!」と思いますよね。なぜ小児科に通い続けていたかというと、私のてんかんは治療が終わらなかったからです。
毎日薬を飲んで、時々発作が起きて、月1回通院して薬を出されて…をくり返して、気付けば大学生になっていたのです。
ちょうど思春期のころ、中学生、高校生と成長していく中、幼稚園や小学生くらいの子供ばかりの小児科病棟は居心地が悪かったです。それでも行くしかありません。病院も電車も少ない田舎ですからね、車で連れて行ってもらうほかないし、お金も親が払うわけですし。
大学生になって東北の田舎から上京したのですが、病院は変わりませんでした。
毎月、薬を親に送ってもらっていました。生活費やお米と同じように。
親からすれば同じ病院にかかり続けた方が安心だったのかもしれません。それに実家を遠く離れることも全く反対しませんでした。私自身も一人暮らしくらいできると思っていました。
多分私のてんかんは、まわりから見たらある意味安定していたのでしょう。発作は月に一回くらい続いていたけれど、意識を失うような危ないことはなく、まわりにも気付かれずに済んでいましたから。
ぱっと見、普通の健康な人間でした。薬を飲み続けてさえいれば。
だから小児科への通院も安定した習慣になっていました。他の道を誰も探さなかったし、教えてくれませんでした。
でも私はこのままで良いとは思っていませんでした。苦しい発作がなくなり、病院に行かず薬を飲まなくてよくなる「本当の安定」を期待して、小児科にかかり続けていたのです。