はじめての てんかん 発作

それは11歳のお正月の頃、家族でおもちを食べようとしていた時のこと

お母さんに「おもちを食べる?」と訊かれた後、急に気分が悪くなってソファーに横になりました。目を覚ましたら病院のベッドの上。

 

まわりから自分が『 けいれん 』を起こしたと聞こえて、私は『てんかん 』だと気付きました。何で分かったのか?学校の授業では教えてくれません。

小学校の図書館で借りた小説に出てきたのです。自分と同じくらいの外国人の男の子が、学校で『けいれん』を起こして意識を失ってしまうのです。

その物語を思い出して「あ、自分もあの『てんかん』ってやつになったんだー」と気付いたわけです。

 

医者や親に言われる前に分かって「自分すごい!」「早くお母さんに教えて驚かせてやろう」と得意になっていました。

あとは、早く家に帰っておもち食べたいっておもっちゃっていましたね。

はじめての てんかん 発作

のん気なものですよね~

ま、発作中や救急車の記憶はないし、身体もどこもおかしくないし。

そんなわけで、私にとって『てんかん 』は最初、風邪や虫歯などと同じ、ただの病気の一つでした。

 

でも、家族からしたら、何の前ぶれもなく突然全身がブルブルけいれんして意識を失って救急車で運ばれたのだから、相当慌てる出来事だったのでしょうね。

それに、家族にとって、社会にとっては『てんかん 』はただの病気ではなかったのです。

 

ただの病名と思って、いやむしろドヤ顔で口にした『てんかん 』という言葉。

でも、お母さんはものすごく怖い顔で「誰にも言うな」ときびしく口止めしてきました。

「なんで??」と不思議だったけれど、まだ反抗期前の小学生、怖くて何も言えませんでした。

はじめての てんかん 発作

『てんかん 』は私にとって、「絶対に隠さなければならないもの」になりました。

隠す理由は分からないけれど…。

 

そして私は、家族が『てんかん 』をどう思っているのか、また『てんかん 』はどういうものなのかよく分からないまま、10年以上の間「孤独 」を抱えて大人になったのです。